模型製作に使う工具、治具

私がよく使っている工具類を紹介します。

• ニッパ
  

  ニッパは何種類かを使用していますが、主に長さ11cmのΦ0.2〜1.25銅線切断用の物を使用しています。また、Φ0.1〜1.0銅線用のニッパで切断面がフラットになるものもあり、これは切断後の整形がいらないので便利です。これで70番のレールを切断したりもしていますが、今のところ奇麗に切れます。
  

  
  

• プライヤ
  

  普段使うプライヤは大きく分けて2種類で、先が細くなっているものと、平たいものです。細かい加工をする時などは先が細いプライヤを使用し、しっかりと物をはさむ場合は先の平たいプライヤを使用しています。なお、どのプライヤもはさむ物を傷つけないため、滑り止めのギザギザの付いていないものを使用しています。
  

  
  

• ピンセット
  

  ピンセットも何種類か持っていますが、普段使うのは2種類で、先がまっすぐなものと曲っているものです。どちらもチタン製で、軽く、半田が付かず、高温にも耐え、磁化されないということが気に入っています。以前、日本製のチタンピンセットなるものを使った事があるのですが、重かったのと、先がすぐに折れてしまったことから、純粋にチタンではなく、チタン合金であったと思います。そのためもあって、現在は、スイスのフォンタックス製を使用しています。
  

  
  

• ノギス
  

  以前は、副尺式のノギスを使用していましたが、最近ではもっぱらデジタル式のノギスを使用しています。デジタル式の便利な所は、

  1. 読み間違いの無い事
     
  2. 相対寸法が測れる事
     
  3. 0.01mmまで表示される事(保証精度は0.02mm、副尺式は0.05mm)

  
  などです。本来の寸法測定と共に、本尺の先を尖らせてケガキノギスとしても使用しています。
  

  
  

• マイクロメータ
  

  ノギスでは測定精度が不足する場合に使用します。
  私の持っているものは測定精度0.01mmですが、0.001mm(1μm)のものもあります。
  

  
  

• ステンレス定規
  

  普通の定規です。15cm,30cm,100cmのものを使用しています。寸法の測定に使うと共に、直線性を活かして治具としても使用しています。
  

  
  

• やすり
  

  日本ではやすりの目の荒さを示すのに「荒目」「中目」「細目」「油目」というのが使われています。私がいつも使用しているのは、「油目」よりも細かいものと思われます。私はスイスのバローベ製をもっぱら使用しているのですが、このやすりの目の荒さは番号で示されます。8が最も細かく、番号が小さくなるにつれて荒くなります。日本の魚地球製も番号で目の荒さを示しているのですが、ここの6はバローベの4に相当するようです。私がなぜバローベ製を使うかというと

  1. 目が細かいものがある事
     
  2. 平やすりの場合４辺の角がちゃんと出来ている事(魚地球のは丸い)

  
  などの理由です。
  

  
  

• 糸鋸
  
  • 糸鋸フレーム
    

    鉄道模型関係の本を読んでいると糸鋸のフレームは安価なものが良い様なことが書かれています。しかし、私としては、糸鋸刃の張り具合を加減できる、それなりのものを使用しています。ただ、普通の工具店でよく見かける日本の有名工具メーカ製のものは、張り具合の調整ができ、見た目は奇麗ですが、強度が弱く、お勧めできません。

    
    

  • 糸鋸刃
    

    糸鋸刃の目の荒さは番号で現され、8が最も荒く数字が小さくなるにつれて細かくなり、00000000が最も細かいとされます。(バローベ製の場合、000000が最も細かいようです)目の荒さは切断する素材の厚みとの関係で選びます。機芸出版社刊「鉄道模型工作技法」によると、t0.5〜t1.0は000(3/0)、それ以上なら00(2/0)、それ以下の薄物は0000(4/0)う使うように書いてあります。私の場合はおおむね、t0.3以下なら000000(6/0)、t0.6以下は0000(4/0)、t0.7〜t1は00(2/0)又は0、t1〜t2は3、t2以上なら8を使用しています。
    糸鋸刃は、外国製を使いなさいというのが一般的です。私は日本製を使った事がないので評価できませんが、あまり切れず、よく折れるそうです。店頭で展示されているのを見る限りでは、あまり細かい目のものは無いみたいです。鉄道模型の店に行くとよく置いてあるのがヘラクレス製です。普通は1ダース(12本)単位で売られています。その他入手しやすい製品としては、アンチロープ製、バローベ製があります。価格は、ヘラクレス＜アンチロープ＜バローベとなっています。私はバローベ製を使用しているのですが、以前使っていたヘラクレス製と比較すると、

    1. １本毎の切れ味のばらつきが少ない。
       

       ヘラクレスのは右に曲って切れたり左に曲ったり、個性が大きい。

       
       

    2. 000000(6/0)がちゃんと使える。
       

       ヘラクレスのは糸鋸刃を取り付けた時点で折れてしまい、切る前に12本消費した。

       
       

    3. 折れにくい。

    
    という特徴があります。バローベの製品価格は高いのですが、ちゃんと切れて長持ちするので、総合して考えると高くはないと思っています。
    

    1997/10/11追記
    

    久しぶりにヘラクレス製を買いました。目の荒さは、00000000(8/0)です。
    0.3mmの真鍮板に四角の窓を18個抜いてみましたが、16個抜いた後、次の窓を抜くためにセットしたら、折れてしまいました。
    バローベの000000(6/0)でも何個も窓を抜くと、刃が弱ってくるせいか、たまに、折れてしまう事があります。
    さらに細い00000000(8/0)ですからこれはしかたのない事かもしれません。
    実際に使ってみると、やはり刃が細かい事が実感できます。
    2本しか使っていませんが、切れ方のばらつきは少ないように感じました。
    以前にヘラクレスを使っていた時と比べると格段に進歩しているようです。
    
    

• カッター
  

  紙を切ったりするのに使用しています。歯が切れなくなったら先を折ってまた切れるようになるタイプのものです。大小2種類を使っています。
  

  
  

• 半田コテ
  

  半田コテは、板金用と配線用の2種類を使用しています。板金用は100Wのもので、調光器で80〜75Vにして使用しています。配線用は70Wで調温器が内蔵されたものを使用しています。
  

  
  

• ポンチ
  

  穴空けの位置決めのためにセンターポンチを使いますが、私はもっぱら、オートポンチを使用しています。オートポンチは片手で作業ができ、ハンマーもいらないので便利です。
  

  
  

• ピンバイス
  

  小さな穴空けはピンバイスにドリル刃を取付け、手回しで穴をあけます。
  

  
  

• 万力
  

  素材をしっかり固定するために、万力が必要となります。私が使用しているものの１つは、卓上万力と呼ばれるもので、アゴの幅が50mmのものです。卓上万力にもいくつか種類があって、私のはボーレー型と呼ばれるもので、普通のものと逆のアゴが動き、しっかりと素材をはさむ事ができます。
  

  
  

• 旋盤
  

  私は、酒井特殊カメラ製作所製のML-210という旋盤を使用しています。かなり小型の旋盤で、パワーも弱く、機械的強度にすぐれているわけでもないため、無理はききませんし、過度の期待をしてはいけません。しかし、HOクラスの模型の製作に不都合はありません。そんなに精度の高い旋盤とは思いませんが、それでも、使い方によっては、0.01mmの精度を出すことは可能です。旋盤を買うと何でも作れると錯覚する人もいらっしゃるようですが、基本的には丸物削りが主体ですし、使いこなすにはある程度の熟練が必要です。
  ミニ旋盤に関しては、誠文堂新光社刊の「ミニ旋盤を使いこなす本」および「ミニ旋盤を使いこなす本応用編」が役に立つでしょう。
  

  
  

• 切断機
  

  鉄道模型ではポピュラーな遠藤機械製の手動切断機を使用しています。真鍮板ならt0.8位まで切れます。レールも100番なら奇麗に切れます。この切断機で注意点は板を切った時、真っ直ぐ切れそうで切れない事です。切断が進むにつれ、切断側に板が引き寄せられます。その時、板をしっかり固定していないと、少し曲って切れてしまうのです。
  

  
  

• 折曲機
  

  これも遠藤機械製の手動折曲機を使用しています。金属板の曲げは意外と力がかかるようで、長さ250mm厚さt0.3の真鍮板を直角に曲ようとすると折曲機の機械的な強度が不足し、奇麗に曲りません。10mm位の短い板ならちゃんと曲ります。この程度の機械に過度な期待をしてはいけないみたいです。

• タップ、ダイス
  

  ネジを切る道具です。
  写真上のダイスは雄ネジを切るもの、写真下のタップは雌ネジを切るものです。

• Kadeeカプラーハイトゲージ
  

  Kadeeカプラーの高さをチェックする治具です。その他、軌間、車輪等をチェックできます。
  左側のはHO用です。
  右側のはもともとHOn3用の物をHOn3-1/2用に改造したものです。
  

  
  

• Kadeeカプラー組み立て治具
  

  写真は711,714やNゲージのMicroTrainsカプラー用の組み立て治具です。他にHO用の治具が数種類あります。
  Kadeeカプラーを組み立てるのは結構面倒なのですが、この治具を使えばかなり楽になります。
  

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森井 義博 (morii yoshihiro)